雪国である新潟の冬は長く、バイクにとって「電気の貯蔵庫」であるバッテリーには過酷な試練の時期となります。春になり、いざエンジンを掛けようとしたら「カチッ」という音だけでセルが回らない。そんな悲しいシーズンインを迎えないためには、冬の間の適切な管理が不可欠です。
バッテリーは消耗品ですが、決して安いものではありません。一度上げてしまうと性能が著しく低下し、高価な買い替えを余儀なくされます。逆に言えば、冬の間のケア次第で、その寿命を数年は延ばすことができるのです。ここでは、乗らない期間のバッテリー維持方法について、松・竹・梅の3段階で解説します。
冬眠中のバッテリー上がりを防ぐ「端子外し」の基本
まず、特別な道具を使わずにできる最低限の対策です。それは、バッテリーの「マイナス端子」を外しておくことです。
バイクのキーをOFFにしていても、時計やイモビライザー(盗難防止装置)、ECU(エンジンコントロールユニット)のメモリー保持などで、微弱な電流(暗電流)が常に流れ続けています。これを放置すると、数週間から1ヶ月程度でバッテリーの容量が空になり、完全放電(バッテリー上がり)を起こします。
これを防ぐ物理的な遮断方法が、端子外しです。外す際は必ず「マイナス(黒)」から外してください。プラス(赤)から外そうとして工具がフレーム(金属部分)に触れると、ショートして火花が散り、ヒューズが飛んだり火災になったりする危険があります。「外すときはマイナスから、付けるときはプラスから」。この鉄則を守り、外した端子が勝手に接触しないようテープで絶縁しておくのがポイントです。ただし、これだけでは「自然放電」までは防げないため、春の始動前には補充電が必要になることは覚えておきましょう。
繋ぎっぱなしで管理できる「トリクル・フロート充電器」
ガレージにコンセントがある環境なら、最も確実で楽な方法があります。それは、「維持充電器」を繋ぎっぱなしにすることです。
通常の急速充電器とは異なり、「トリクル充電」や「フロート充電」と呼ばれる機能を持った充電器は、バッテリーの電圧を常に監視し、減った分だけチョロチョロと微弱な電気を流し続けてくれます。これにより、常に満充電の状態をキープできるため、バッテリーの寿命を最大限に延ばすことができます。
代表的な製品としては「オプティメイト」などが有名ですが、選ぶ際は必ず「繋ぎっぱなしOK」と明記された、過充電防止機能付きのものを選んでください。安価なだけの充電器を長時間繋ぐと、過充電でバッテリー液が沸騰し、かえってバッテリーを痛める原因になります。充電器への初期投資はかかりますが、バッテリーを何度も買い替えるコストを考えれば、数年で元が取れる賢い選択です。
氷点下での保管リスクとバッテリーの取り外し保管
最後に、新潟のような寒冷地ならではのリスク管理です。もしガレージ内の気温が氷点下になるようであれば、バッテリーを車体から取り外し、室内で保管するのが最も安全です。
バッテリー液(希硫酸)は、満充電の状態では凍りにくいのですが、放電して比重が下がってくると、真水に近づき凍結しやすくなります。もしバッテリー液が凍ると、体積膨張でケースが割れ、使い物にならなくなります。こうなると再充電すらできず、即廃棄となります。
取り外したバッテリーは、直射日光の当たらない、温度変化の少ない涼しい室内(玄関や納戸など)に置いておきましょう。また、コンクリートの床に直置きすると冷えて放電が進むと言われているため、木材やマットの上に置くのがベターです。少し手間はかかりますが、厳しい冬から愛車の心臓部を守るための、確実な避難措置と言えます。